BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
頑なな宝の態度に腹も立っているし、1人になりたい気持ちでもあった。
なんだか無性にイライラする。
友達としか名乗れない2人。
先の見えない関係。
見え隠れする元旦那の陰。
俺は宝にとって何なのだろう?
この気持ちをぶつけたいとも思うが、そんなことしたら宝はどこかに消えてしまいそうな気もする。

プププ ププ
携帯が鳴った。

ん?
知らない番号だ。

「もしもし」
『もしもし、桜井さん?』
「はい」
『野崎です』
「の、野崎さん?」
『はい。突然すみません。番号は鈴子に聞きました。宝には内緒です』

彼が『宝』と呼ぶのも腹が立つ。

『申し訳ないけれど、お話ししないといけないことがあるんです。会えませんか?』
「ええ?」

正直、会いたくない。
できることなら断わりたい。
しかし、
『お願いします』
電話の向こうで彼が頭を下げているのが分かるから、仕方ない。
「分かりました」

1時間後に駅前の小料理屋で俺は野崎さんと会う約束をした。
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