BODY　BLOW　～Ｄｒ.剛の恋～
しかし、
「何で、野崎さんが謝るんですか？」
今の話を聞く限り野崎さんが手をついてまで謝る理由が見つからない。

「それは・・・。今回の騒ぎはうちの家内の仕業なんだ。」
はあ？
「どういうことですか？」
思わず詰め寄ってしまった。

「実は、今の家内とは結婚してだいぶ経つんだが女の子１人にしか恵まれなくてね。うちの両親からの跡取りを望むプレッシャーに、少し鬱のような状態なんだ」

そんな馬鹿な。
今時、男の子でないといけないなんて・・・

「俺も馬鹿らしいと思うよ。だから放っておいた」
一旦言葉を切って、俺を見る。

「宝は結婚してすぐに奏太に恵まれた。宝との結婚自体は大反対されたけれど、一緒に暮らすうちに両親や家族も宝の人柄を気に入ってくれた。不幸にも離婚することにはなったけれど、宝は気に入られた嫁だった」
懐かしそうに話す野崎さん。
「今の嫁も努力はしているけれど、どうしても宝と比べられてね」
そう言うと肩を落とす。

「それは、あなたと奥さんの問題でしょう。宝には関係ない。ましてや、なぜ僕に話すんですか？」
なんだか腹が立ってきた。

「分かっているよ。君にうちのことを相談する気はない。ただ、今回のことが妻の仕業だと宝は知っているんだ。それでも、２度としないのであれば許すと」
「はあ、冗談でしょう？」
俺は思わず野崎さんの言葉を遮った。
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