BODY BLOW ~Dr.剛の恋~
「桜子を小児科に呼んでもらえないか?」
はあ?
「それは・・・」
俺は即答できなかった。
桜子ちゃんが小児科に来ても、苦労するのが目に見えている。
小児科は他の科以上に人間関係のしがらみの多い科。
患者だけでなく、その親とのコミュニケーション力も求められる。
彼女に向いているとは思えない。
「剛、頼む」
明日鷹は俺に頭を下げた。
「やめろ。お前に頭なんか下げられたら断れないじゃないか。そもそも、お前は春から留学するんじゃないの?」
すでに病院でも噂になっているし、かなり具体的な話だと聞いている。
「それは、断わった」
「はあ?大丈夫なの?」
明日鷹の留学は学長の推薦。簡単に断れるものではないはず。
「大丈夫ではないさ。頭を下げ続けて勘弁してもらった。代わりに見合いの話を押しつけられたけどね」
「見合いするの?」
留学断わったって、見合いして結婚なんてことになれば桜子ちゃんとは終わりじゃないか。
「見合いはするしかないと思っている」
「桜子ちゃんはどうするの?」
明日鷹は一瞬目を伏せた。
「剛、先のことを考えれば不安しかないんだ。桜子を諦められるくらいなら、とっくにしてるさ。でもできない。かといって、親や恩師を裏切ることもできない。俺は情けない男だ」
遠い目をして、ウーロン茶を口にする。
「明日鷹・・・」
こんな明日鷹を見るのは初めてだ。
「とにかく、桜子は諦められない。だから、今できることを1つずつしようと思う。・・・頼む。桜子を小児科で引き受けてくれ」
深々と頭を下げられた。
今日はやたらと頭を下げられることの多い日だ。
「分かった。部長に掛け合ってみるよ。ただし、いい加減な気持ちで来られては困る。覚悟はして来て。甘やかす気はないから」
「分かってる」
心底ホッとした表情。
「お前をこんなにする桜子ちゃんは凄いね。どこがそんなにいいの?」
好奇心から訊いた俺に、
「かわいいんだ」
なんとも言えない顔をする明日鷹。
あー、訊かなければ良かったと、俺は後悔した。
はあ?
「それは・・・」
俺は即答できなかった。
桜子ちゃんが小児科に来ても、苦労するのが目に見えている。
小児科は他の科以上に人間関係のしがらみの多い科。
患者だけでなく、その親とのコミュニケーション力も求められる。
彼女に向いているとは思えない。
「剛、頼む」
明日鷹は俺に頭を下げた。
「やめろ。お前に頭なんか下げられたら断れないじゃないか。そもそも、お前は春から留学するんじゃないの?」
すでに病院でも噂になっているし、かなり具体的な話だと聞いている。
「それは、断わった」
「はあ?大丈夫なの?」
明日鷹の留学は学長の推薦。簡単に断れるものではないはず。
「大丈夫ではないさ。頭を下げ続けて勘弁してもらった。代わりに見合いの話を押しつけられたけどね」
「見合いするの?」
留学断わったって、見合いして結婚なんてことになれば桜子ちゃんとは終わりじゃないか。
「見合いはするしかないと思っている」
「桜子ちゃんはどうするの?」
明日鷹は一瞬目を伏せた。
「剛、先のことを考えれば不安しかないんだ。桜子を諦められるくらいなら、とっくにしてるさ。でもできない。かといって、親や恩師を裏切ることもできない。俺は情けない男だ」
遠い目をして、ウーロン茶を口にする。
「明日鷹・・・」
こんな明日鷹を見るのは初めてだ。
「とにかく、桜子は諦められない。だから、今できることを1つずつしようと思う。・・・頼む。桜子を小児科で引き受けてくれ」
深々と頭を下げられた。
今日はやたらと頭を下げられることの多い日だ。
「分かった。部長に掛け合ってみるよ。ただし、いい加減な気持ちで来られては困る。覚悟はして来て。甘やかす気はないから」
「分かってる」
心底ホッとした表情。
「お前をこんなにする桜子ちゃんは凄いね。どこがそんなにいいの?」
好奇心から訊いた俺に、
「かわいいんだ」
なんとも言えない顔をする明日鷹。
あー、訊かなければ良かったと、俺は後悔した。