浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「ぼくもそうだよ。読者の期待に応えられていないいないんじゃないのか。期待を裏切ってばかりいるんじゃないか。いつも不安で不安で仕方がない。しまいには、自分はこれ以上ムリなんじゃないのかって絶望してしまう」

 よかった。そんな思いをしているのは、わたしだけじゃないのね。

 美貌を見つめつつ、心からホッとした。

「おっとすまない。つい愚痴のようになってしまった。きみだからかな?アニバルにはぜったいに言えないようなことも、きみだったら話せる気がする」

 出たわ。「きみにしか」とか「きみだから」、あるいは「あなたにしか」とか「あなただから」攻撃ね。

 恋愛小説だけでなく、バイオレンス系やハードボイルド系でも使えるフレーズよ。

「きっと同業者だから、よ」

 そう。通常は恋愛関係で使うフレーズなんだけど、いまの場合は同じ小説家どうしだから、話せるということよね。

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