浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 アニバル……。

 どうしてわたしには、アレックスの小説を紹介してくれなかったのよ。

 ああ、そうだった。最初に、彼に宣言したんだった。

 愛だの恋だのをメインにしている小説だけは、ぜったいに読まないし書かないからって。

「す、すごく光栄だわ」

 ひきつった笑みになってしまう。

「とってもうれしい」

 わたしってば自称バイオレンス・ハードボイルド系作家のくせに、語彙力ゼロね。

「それにしても、よく勉強しているよね。アニバルが言っていたけど、きみはモリーナ王国に行ったことがないんだよね?それなのに、まるで住んでいるみたいな描写だ。そういえば、図書館で王都の図説を持っていたよね」
「え、ええ。資料に頼るしかないから」
「だったら、来ればいい」
「え?」
「カルラといっしょに来ればいいよ」

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