浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「いいんだよ。料理は、いい気分転換になる。それに、料理中にインスピレーションがわくことがある」
「そう言ってもらえて気がラクになるわ」

 驚くべきことに、彼はこんな台所のテーブルにつくときですらちゃんと椅子をひいてエスコ―トしてくれた。

 やはり、上流階級の出身に違いないわね。

 小説まんま君だから、モリーナ王国の王子とか王太子とかで、陰謀とかから逃れて身分を隠して潜伏しているとか。小説家というのは、隠れ蓑ってやつ。それとか、公爵とか侯爵とかで、密命を受けてこのアラニス帝国にやって来ているとか。

 わたしの「黒バラの葬送」シリーズでもそうだけど、フツーにかんがえたら王子とか国王とか皇帝とかが護衛もつけずに身分を隠して街や村をウロウロしているって不自然すぎるわよね。公爵や侯爵にしたって、自分で何も出来ないような人が使用人も連れずに敵国とかライバル国とかに潜入して生活を送るってこともあり得ないわよね。

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