浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 そうよ。彼のような超美貌の持ち主でやさしくって気遣い抜群で家柄もよさそうで、しかも料理が上手となったら、この世のレディたちが放っておくわけはない。モリーナ王国には一人もレディがいないというのなら話は別だけど。そうではないかぎり、婚約者であったり婚約者候補であったりお遊びの相手であったり、とにかく複数人のレディたちと懇ろになっているはず。

「約束だよ」
「ええ、ええ。いいわよ。約束ね」

 流れで約束すると、彼は食事の続きに戻った。

 すっごくうれしそうな表情で。

 わたしも食事の続きに戻ったけれど、心が穏やかではなかった。それでも、料理は堪能しつくしたのがわたしらしいわね。

 ロボにもディナーのお裾分けをし、また書斎に戻ることにした。

 書斎では、先程と同じ場所に座った。

 葡萄酒の残りとチーズをお供にして。

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