浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 彼が手をひっぱってきた。
 当然、わたしは彼にひきよせられて胸元におさまるっていうのがこういう場面におけるセオリーよね。

 そのまんまでいっちゃう?
 彼の手を振り払ったり、「シャーッ」って気合いの声とともにこの場で足を踏ん張ったりするのは簡単なんだけど。

 ふと視線を感じた。わたしが座っていた長椅子を見た。

 さっきまで眠っていたロボが、じっとこちらを見ている。

 彼、なにか期待している?それとも、いっちゃえって応援してくれている?

 こういうドキドキの機会は、いままで一度もなかった。これから将来、あるかどうかもわからない。

 それなら、せっかくだしいっちゃうべき?

 って迷っている間でも、アレックスは何度もわたしの手をひっぱっている。

< 136 / 330 >

この作品をシェア

pagetop