浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 遠くの修理工を教えたから、その文句を言おうとでもいうの?そのくらいしか思い浮かばないわ。

 もしかして、わたしの魅力?どうしてもわたしの魅力が忘れられず、会いたくって待っているとか?

 わたしが同じ時間に現れることなど、容易に推測出来るでしょうから。

「クルルルルル」

 そのとき、右肩上でロボが鳴いた。っていうか、うなった。

 モフモフが激しく横にシェイクされている。

「ちょっと待って。いまのそれ、どういう意味なの?」

 思わず、声を荒げてしまった。

 まるでわたしの推測を思いっきり否定されたみたいだったから。

 もちろん、わたしの魅力云々の部分を、である。

「おっ、あの女の声がしたぞ」
「間違いない。昨日のあの女の声だ」

 向こうの方で男たちの声がした。

 間違いない。昨日のあの男たちの声だ。

 あちゃちゃー。わたしってば、まるでドジなヒロインじゃない。

 小説の中ではあるあるよね、こういうの。

「キュキュー」
「大丈夫。大丈夫よ、ロボ」

 この期に及んで大丈夫と言いきるわたしは、図太すぎるかしら。
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