浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 とにかく、距離を稼がなくては。なんとか人のいるところまで走り続けなければ。

 とはいえ、自分が向かっているのは、街や村とは正反対の森の奥である。

 わたしって、もしかしてバカ?

 道を走らないだけの理性はあったけど、どこにいくかまではかんがえがおよばなかった。

 わたしってば、どうして森の奥へ向かったのよ。せめて近くの村に向かうべきじゃないの。

 だけど、一番近い村に別荘がある。それはそれで、連中に別荘の存在がバレて余計に面倒なことになるかもしれない。

 だけれども、わたし一人で何が出来るわけ?

 向こうは男四人よ。

 黒バラだったらちょちょいのちょいよ。だけど、わたしはごくフツーの女。だから、わたしが連中にちょちょいのちょいでやられてしまう。

 なんて思っている間に、走る速度が落ちてきた。馬たちの嘶きや蹄の音が近づいてくる。

 もうダメ。これ以上走るのはムリ。

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