浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「バカなことを。そんな男みたいな姿(なり)でそこら中を走り回っている変わり者の女は、この大陸中のどこを探してもここにしかいない」

 ベレー帽の男はそう断言し、よりにもよってわたしを指さしてきた。

「違いない」
「ああ、たしかにそうだ」
「ほんとほんと」

 他の三人が揃って同意する。

 ショックだわ。とてもショックだし、傷ついたわ。

「くだらんやり取りはごめんだ。女、男を知っているはずだ」
「男?どの男のことを言っているの?抽象的すぎるわ。だって、男なんてわんさといるでしょう。すくなくとも、いまわたしの目のまえに四頭(・・)いるし」
「なんだと、女っ!」
「やめろ。女のペースにのるんじゃない」

 四頭と言ってわざと怒らせようとしたのに、ベレー帽のせいでうまくいかなかったわ。

 作中のようにうまくいかないものね。

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