浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「おいっ、それは」

 ベレー帽の男が何か言ったけど、狩猟用の帽子の男たちが同時に馬に拍車をかけたので、馬蹄の音にかき消されてよくきこえなかった。

「おまえたち、やめろ」
「キュキュキュキュー」

 ベレー帽の男が制止したタイミングで、ロボがわたしの右肩上から飛び跳ねた。

 しかも、向かって来る二頭の馬に向かってである。

「ロボッ、危ないわ」

 驚いた。反射的に、一歩踏み出してモフモフを捕まえようとした。

 その瞬間である。

 バンッ!というか、ドンッ!というか、そんな感覚があった。

 実際に音がしたわけではない。気というか精神的なエネルギーというか、そんなものが弾けたような気がした。

 瞼を閉じてしまった。

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