浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

勇者ごっこ

「ったくもうっ!このわたしを、このように扱うなどと……」

 しばらくすると、巨大モフモフが前足で土をいじくりはじめた。

 やだやだ、ますます可愛いじゃない。

 いじらしすぎる。

 そんないじけている仕草にキュンときてしまう。

「読んでくれた?だから、そういうときだけわたしの心を読んで協力してね」

 確認とお願いをしてみた。

 すると彼は、「ふんっ」と艶やかで真っ黒な鼻から思いっきり息を吐きだした。
 きっと、わたしのお願いを了承してくれたに違いない。

「あっ、イヤだわ。忘れていた」

 そうだった。すっかり忘れてしまっていた。

「ロボ。わたしたち、かんじんなことを忘れているわ」

 巨大モフモフの向こう側で、ベレー帽の男がその場でピョンピョンと飛び跳ねているのが見える。

 狼面を見上げた。すると、狼面がわたしを見下ろした。

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