浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「間もなく朝食の時間よ。卵を取りに行かなきゃならないのに、こんなところで何をしているのって感じよね。カルラに怒られるわ。はやく戻りましょう」
「あの卵はうまかった」
「でしょう?あなた、あっという間に殻ごと食べちゃって」
「食べたのではない。丸飲みしたのだ」
「そんなことはどうでもいいわ。一刻もはやく戻らないと、わたしたち、カルラにぶっ飛ばされることになる。そうだわ。ロボ、乗せてくれる?魔獣だったら、あっという間に戻れるでしょう?」
「だから、魔獣ではないと。それに、おまえが話を振ってきたのではないか。それから……」
「いいからいいから。じゃあ、乗るわね」
「おいっ、やめ……」
「よいしょ、よいしょっと」

 ロボが何か言っているけれど、モフモフの毛を綱代わりにしてよじ登るのに集中していて、彼が何を言ったかはからよくわからなかった。

「うわっ!馬よりも高ーい」
「当然だ」

 ロボの背から見ると、思っていたよりも高かった。

「さあっ魔獣ロボよ、行けっ!」

 勇者ごっこね。

 彼の背で背筋をピンと伸ばし、別荘のある方角を指さし命じた。

< 163 / 330 >

この作品をシェア

pagetop