浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「いやね。つい盛り上がっちゃった。レディトークってやつよ。気にしないで。さっアニバル、さっさと正体を明かしてよ。ほら」

 つい、催促してしまった。

 すると、アニバルは椅子の上で小太りの体をわずかに動かした。アレックスも居心地悪そうにしている。ついでに、ロボは視線を上空に向けている。

 そのロボの視線を追ってみたけれど、青い空が見えるだけで何もない。

 もしかして、人間(ひと)には見えない何かが見えているの?

 動物にはあるあるのことよね。

 あっ、ロボは魔獣だったわね。

「ねぇ、どうしてだまっているの?わたしって、どんなことでも焦らされるのは好きじゃないのよね」

 アレックスもアニバルも、だんまりを決め込んだままである。

 簡易テーブルに肘をついて身を乗りだし、「期待に満ち満ちている」|瞳(め)で二人を交互に見てみた。

「あー、そうだな」

 アニバルと視線が合った。すると、彼は言葉を濁して()をそらしてしまった。

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