浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「出発の準備よ。荷造りだけじゃないでしょう?どの位の期間になるかわからないけれど……。この別荘だって片付けておかないといけないし、ご近所さんに家畜たちのことを頼まなきゃならないから。いくらなんでも、馬以外は連れてはいけないでしょう?」
「ちょちょちょっ、ちょっと待ってくれ。まさか、いっしょに来るつもりなのかい?」

 アレックスは、勢いよく立ち上がろうとした。その拍子に、両腿が簡易テーブルに思いっきりぶつかった。

「イタタタ」

 アレックスは、眉間に皺を寄せている。

 ダメよ、アレックス。眉間に皺なんて寄せたら跡が残っちゃう。せっかくの美しい顔なんですもの。出来るだけ皺やシミは作らない方がいいわ。

 ふとカルラとアニバルを見ると、二人とも食器やポットを胸元に抱えたままかたまっている。

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