浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「いや、どうかんがえたって何か違う気がする……」
「ごめんなさい、殿下。よくきこえなかったんだけど、もう隠れ家に到着したの?どこかしら?」

 そのとき、アレックスがすぐ隣で何かつぶやいているのに気がついた。

 彼も感動しているのね。

 だけど、いまは感動しまくっている場合じゃないわ。

 というわけで、いま立ち向かわねばならない話題へキッパリすっきりときりかえた。

「キュキュキュッ」

 ロボったら。めちゃくちゃ可愛いわ。

 アレックスが答えるよりもはやく、ミニモフモフが肩上で跳ねてわたしの「隠れ家に到着したの?」の問いに答えてくれた。

「ああ、もうすぐだ。そこの角を曲がったら見えてくる。もしも、連中が見張っていたら丸見えだ。ここの筋から裏手にまわろう」

 アニバルが馬車を停止させた。小さめだけど分厚い手が、右側の脇道を示している。

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