浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「あれって、モリーナ王国軍なの?」
「いや、クミ。正規軍ではない」

 アレックスとアニバルに尋ねると、アレックスが答えてくれた。

 せっかくの午後のひとときをゆったりすごしているこの区画の住人たちは、慌てふためいて屋内に逃げ込んている。

 裏側の広場は、あっという間に兵士たちに埋め尽くされてしまった。

「クミ、カルラ。きみたちを巻き込んでしまってすまない」

 アレックスがわたしの前に立ち、謝罪してきた。

 横を見ると、カルラも馬車を降りている。その前にアニバルが立ちはだかっている。

「ねぇ、殿下。あなたたちの隠れ家から出て来たってことは、あなたの原稿を見られたんじゃない?だとすれば、まだ発表前の作品のアイデアを盗まれるとかっていうのもあるあるでしょう?」

 どさくさに紛れ、そんな悪いことをする奴の一人や二人、いてもおかしくないわよね。

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