浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「ち、ち、違うっ!あの女をよく見ろっ。そそられるか?だれか、そそられる奴はいるか?この嘘つき野郎っ!大嘘もいいところだ」

 ベレー帽の男は、激怒した。わたしを指さし、大声を張り上げる。

「ほら、きいたでしょう?人間(ひと)って、真実を告げられると激怒するのよ。大声を張り上げて正当化しようとするの。大嘘つきは、わたしじゃないわ。あいつよ。そこのあなた、どう?わたしを見てどう思う?そそられないってこと、ぜったいにな・い・わ・よ・ね?」

 正義が問われる最大の見せ場。思わず、熱くなってしまう。

 一歩前に出、ベレー帽の男の近くにいる兵士に尋ねてみた。

 自分でもセクシーだって思える笑みを添えて。

 その兵士と視線が合うと、彼の体が痙攣を起こしたかのように震えた。

 さらに一歩前に出ると、よほどわたしのセクシーさにあてられたのか、彼は一歩うしろに下がった。

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