浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「こいつっ、おとなしくしろ」

 乱入者たちは、いっせいに彼を殴ったり蹴ったりしはじめた。

 そして、彼は殴られたか蹴られたかした反動で食堂内にふっ飛んできた。

「お嬢様、あれって……」

 カルラがわたしのシャツの袖をひっぱった。

 彼女もセシリオとは何度か面識がある。

 めちゃくちゃ美人のカルラに手を出されるのがイヤで、どうしてものときにはいつも帽子をかぶってもらっていた。

 セシリオに対しては、カルラの顔には傷があるからとごまかした。いえ、もしかしたら痣だと言ったかしら?とにかく、カルラはそのお蔭でセシリオの犠牲にならずにすんだ。

 セシリオは、ただのスケコマシじゃない。

 史上最低最悪なスケコマシである。

 彼がわたしをだしにしてカルラをモノにするくらい、容易に想像出来る。

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