浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「どうして、モリーナ王国に?しかも、あんなにボロボロになって……」

 そうつぶやいたカルラに視線を向けた。

 これが小説だったら、動揺とか混乱するわよね。仮に軽めの反応だとしても、驚くくらいはするわよね。

 だけど、いまの彼女は小説のまんまじゃなかった。

 めちゃくちゃうれしそうじゃない。

 髪の色とおなじ色の瞳は、小説のようにキラキラというよりかは、残酷なものを見るのが怖いくせにちょっと期待している、というようにギラギラしている。

「さあ。どうしてかしらね」

 そして、わたしもである。

 彼がどうしてここにいるのか、ほぼほぼわかっているのにとぼけてしまった。

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