浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

元夫の惨状

「ビックリした」
「クミ、いい加減にしろ」
「お嬢様、またですか?」
「キュキュキュッ!」

 てへっ。またやっちゃったわね。

 ついつい叫んじゃった。

 わたしたちのテーブルの周囲のお客さんたちも、驚き顔でこちらを見ている。

「みなさん、失礼いたしました」

 申し訳なささいっぱいです的なオーラを全身から醸し出しつつ、周囲のお客さんたちに謝罪した。

「これって偶然じゃないわよね。こういう偶然を装った必然も、小説あるあるですもの。殿下。元夫の名もセシリオなの。もっとも、元宮廷楽士のセシリオと違って、リアルなセシリオは史上最低最悪な下種なんだけど。とにかく、夫婦だった二年間で彼がわたしに声をかけたのは最後だけよ。婚約時代から合わせたら、浮気する宣言をしたときの二度だけね。もちろん、最後は離縁するっていう宣言だったけど」
「ひどい話だよな。なぁ、アレックス?おい、アレックス。どうしたんだ?」

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