浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 わたしはそれを、たまたま図書館に行ったときに知った。

 ビクトリアが、いかにも悪党っぽい連中とつるんでいるのを見かけたのである。

 わたしもそういうストーリー展開を書いたことがある。即座に悟った。それは直感ではなく、確信だった。

 密かに探偵を雇い、調べてもらった。
 調査結果は、わたしの確信した通りだった。

 ただ、そのときにはセシリオが自滅するくらいにしかかんがえていなかった。

 当然、そのことを彼に告げるつもりはなかった。彼がわたしの話をきくわけはないから。それどころか、わたしと二人っきりになることもなかったから。

 正直、そのときにはまさかグレンデス公爵家がアラニス帝国から永遠になくなるとまでは思わなかった。

 あっ、公爵家がほんとうに消えたかどうかはわからない。もしかしたら、落ちぶれたのはセシリオだけかもしれない。

 でも、それもどうかしら。

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