浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

アレックスが食堂から飛び出していった!

「許せない」

 アレックスのだらりと下がった両拳は、あいかわらずフルフルと震えている。というよりかは、全身震えている気がする。

「言わなければ」

 彼は、意味不明なことをつぶやいている。

 いったいどうしたのかしら?

 なにかの発作?それとも、頭の中のネジがゆるんじゃった?

 こういう精神的に何かっぽいのは、小説の中ではなくって小説家自身にあるあるなのよね。

 つまり、心が不健康な状態になってしまうってこと。

「そうだ。はっきり言ってやるんだ」

 彼は、自分の中で何かを決断したみたい。

 直後、彼は駆けだした。尻尾に火をつけられた魔獣みたいに。

< 269 / 330 >

この作品をシェア

pagetop