浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 元夫は、人目をはばからずワンワン泣きはじめた。

 周囲の男たちに取り押さえられていなければ、文字通りエントランスの床上に泣き崩れたに違いない。

「知らないわ」

 彼の惨状に対する彼女の答えは、たった一言だった。

 あまりにもすっきりくっきりはっきりしすぎていて、逆に清々しい。

「あら?いい男ね」

 そこで彼女は、まったく知らない人間が居合わせていることに気がついた。

 美貌のアレックスに色目を使おうとでもしているのかしら。

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