浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「ごめんなさい。わたし、あまり恋愛物は好きじゃないの。だから、知らないわ」

 正直に言った。

 話を合わせるのが人としての常識かもしれないけれど、こういうファンたちに知ったかぶりをしたらドツボにはまってしまう。

 面倒くさいことになるにきまっている。

「そんな……。まさか、女性で「白ユリの楽士」シリーズを知らないなんて」
「信じられないわ。あなた、大丈夫ですか?」
「本好きなのに、このシリーズを知らないって罪すぎるわ」

 どうも読み違えたみたい。

 正直に言ったは言ったで面倒くさいことになったわ。しかも、彼女たちの身内をことごとく殺した鬼畜みたいな扱いになっている。

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