浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

金貨発見

「ビビアナ、いまのうちに逃げるぞ」
「そうね。あっ、でも金貨を持っていかなくっちゃ」

 手下を犠牲にし、ボスは逃げようとするのもあるあるよね。

 二人が屋敷内に駆け込もうとした瞬間、ビビアナにだれかがすがりついた。

「ビクトリア、待ってくれ。おれを置いていかないでくれ。もう二度と離れたくない」

 世界一バカで愚かで情けない元夫は、ビビアナの腰に腕を巻きつけぶら下がっている。
 彼の中では、ビビアナはいつまでたってもビクトリアなのね。

「邪魔よ、このバカッ!」

 元夫が気の毒すぎる。

 彼は、ビビアナに頭を思いっきり殴られた。その拍子に腕の力が弱まった瞬間、振り払われてしまった。

 ビビアナは、エントランスの大理石の床に崩れ落ちた元夫を蹴りはじめた。

「ミニモフモフ」

 それを横目にしながらミニモフモフに声をかけて屋敷内に入り、そのまま奥へと駆けに駆けた。

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