浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「金貨二枚?」
「ええ、これなら数日は大丈夫。どうせ違うアジトにも慈善活動の資金を貯めているんでしょう?そこまでもてばいいじゃない。ほら、役人がやって来るわ。わたしたちが食い止めている間に、はやく行きなさい」
「すまない。恩に着るよ」
「ありがと。あんた、いい人ね」

 ビビアナはうまくキャッチした金貨二枚を握りしめ、フリオと顔を見合わせてわたしの善意に感動している。

「じゃあ、行くわ」
「またな」

 二人が裏口に駆け寄る。

「元気でね」
「また会おう」
「気をつけてな」
「ケガや病気に気をつけて」

 わたし、アレックス、アニバル、そしてカルラ。順番に彼らに別れの言葉を贈った。

 そして、二人は裏口から出て行った。

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