浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 裏庭を駆けて行くフリオの上半身は、汗でキラキラ光っている。そして、ビビアナのブロンドのサラッサラの長い髪は微風に流れていた。

 その二人の背が裏庭の向こうに消えたとき、裏口の扉を閉めた。

「なんてこった。クミ、作家をやめて詐欺師になったらどうだ?いや、占い師でもアリだな」

 アニバルがわたしの将来の可能性を語ってくれた。

「せっかくだけど、いまはまだ作家で充分よ」

 だから、やんわり断った。

「それにしても、金貨の隠し場所がよくわかったね」
「アレックス、あなただって作中でそうしないかしら?緊急時は、たいてい裏口から逃げるでしょう?大切な物は、すぐに運べるよう裏口のある部屋に隠すわよね?」
「たしかに、そうだね」
「あとは、ミニモフモフの鼻が探り当ててくれたというわけ。さすがは魔獣ね」
「キュキュキュキュー」

 わたしに褒められてうれしいのね。ミニモフモフは床上で飛び跳ねている。

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