浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「これは、慈善活動にまわしてね」

 ニッコリ笑ってアレックスにお願いすると、彼はブンブンと音がするほど首を上下させた。

「さすがだよ、クミ。さすがは、ぼくの惚れた……」
「さっ、表はどうなったかしらね」

 アレックスが褒めてくれているけれど、そんなことよりつぎは表のことよ。

 なぜかすねているアレックスとアニバルに床板を戻してもらい、エントランスに戻った。

「あれは、死んでいるのか?」
「いえ、アニバル様。気絶、でしょうか?それとも眠っているだけでしょうか?胸元がかすかに上下している気がします」

 カルラの言う通りね。

< 308 / 330 >

この作品をシェア

pagetop