浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

「殿下を殺す?」

「殿下、今度こそ決着をつけさせていただきますよ」

 ベレー帽の男は、指先でベレー帽を上げつつ言った。

「ちょっと、使い捨ての駒さん。アレックス一人を殺すのに、ずいぶんと手間と時間がかかるのね」

 ベレー帽の男の前に立ちはだかった。

 右肩上にミニモフモフがいるので、なーんにも怖くない。

 この前、ランニングの途中で待ち伏せをくらったとき、彼はミニモフモフのことを知っていて怖れていた。

 だからミニモフモフがいれば、そうそう手出しは出来ないはず。

「な、なんだと?殿下を殺す?」
「そう言ったつもりよ。いくらミニモフモフがいるからって、大げさに反応しすぎない?」
「おまえの言っていることはよくわからんな」

 ベレー帽の男は、全力ですっとぼけた。

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