浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

アレックスは連れ去られるだけさ

「そうさ。モリーナ王国の王子は、アレックスと弟とおれの三人だけだ。あいつと弟は、王太子どころか王子でいることすら嫌だ。しきたりやら作法やら、守らなければならないことがありすぎる。だから、弟とおれは外にでた。したがって、事実上王子はアレックスだけだ。彼は、名君となるといまから期待している。いまのところ、彼を排除しようなんて動きはまったくない。というわけで、アレックスが命を狙われる理由はまったくないわけだ」
「呆れたわ。それにつまんない」
「いや、クミ。ちょっと待ってくれ。命を狙われないのが、どうしてつまらないんだ」
「だってそうでしょう、アレックス?もっと緊迫の状況じゃないと……。でっ、黒幕はだれ?百歩譲って連れ帰られて、無理矢理何かをされるとかさされるとかでしょう?」
「クミ。きみは、是が非でも不穏きわまりない状況にしたいんだな」
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