浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「レシピ本、ありがとうございます。失礼いたします。カルラ、行きましょう」

 彼女をうながし、歩きはじめた。

「あの……」

 数歩歩いたところで、彼が何か言いかけた。

 下手な小説だったら、その続きは「またお会い出来ますか?」よね。

「またお会い出来ますか?」

 小説まんま君、ありがとう。そのまんまだわ。

 じゃあ、わたしも小説のまんまでいかせてもらうわね。

「ええ、いずれきっと」

 振り返って自分でも最高じゃないかしら?っていうような笑みを満面に浮かべて応じた。

 そして、颯爽と去った。

 小説そのまんまみたいなことってあるんだ、とある意味感動しながら。

 まさかこのとき、小説そのまんまな展開にどっぷりつかることになるなんて、まーったくかんがえもしなかった。
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