浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「クミ、また痩せたんじゃないのか?それにしても、きれいになったなぁ」
「アニバル、お世辞でもうれしいわ。さあ、どうぞ中に入って。ランチにしましょう」

 彼を招き入れたところで、カルラが厨房からやって来た。

「アニバル、いらっしゃいませ」
「やあ、カルラ。これ、どうぞ」

 彼は、手に握っている瓶を差し出した。

 わたしに、ではなくカルラに。なぜかはわからないけれど。

「まあ、葡萄酒ですね」
「ああ。前回、よさせてもらったときにモリーナ王国の葡萄酒を飲みたいと言っていただろう?ちょうど初物が出たばかりですね」
「覚えて下さっていたんですね。うれしいわ」

 カルラは、嬉々として受け取った。

 ふう……ん。そうなんだ。

 複雑な気分である。

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