浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~

モフモフーーーーー!

 驚いているアニバルに手短に説明をすると、彼は大笑いした。

「なんだって?まるで下手な恋愛小説の冒頭シーンそのまんまじゃないか」

 ええ、アニバル。あなたの言う通りよ。

 だれだってそう思うわよね。

 思わず、苦笑してしまった。

 すると、まんま君と視線が合った。

 図書館で見た碧眼は、いまは夕陽で真っ赤に染まっている。

「レディ、アレックス・オルモスです。モリーナ王国で生まれ育ちました」

 まんま君、いえ、アレックスが手を差し出してきた。

 そのとき、何か違和感を覚えた。が、このときには何に対してかはわからなかった。

「クミ・オラーノです。このアラニス帝国の帝国民です」

 差し出された手を握り、ブンブンと上下に振る。

 夕陽で真っ赤になっているけれど、一瞬だけ彼が驚いた表情になった気がした。

 わたしの握力に驚いたのね。

 運動や家畜の世話や農作業で、ずいぶんと力が強くなっているから。

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