浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「キュー」

 モフモフのお尻のある小さな尻尾をふりふり飛び回っている。

「なにこれ?たまわないわ」

 キュンキュンきすぎている。

 こんな可愛らしい生き物がいるなんて……。

「さあ、召し上がれ」

 空になった鍋に水をはろうと蛇口をひねり、視線を床へと戻した。

「え?も、もう終わったの?」

 あきらかにモフモフの小ささには多い量だった。なのに、皿の上に何ものっていないのである。

 ソースまで消えている。つまり、ベロリとなめとったかのように皿がきれいになっている。

「す、すごいのね。食べるの、はやいんだ」

 それしか言えない。

「クーン」

 モフモフが足にまとわりついてきた。

< 55 / 330 >

この作品をシェア

pagetop