浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
 わたしがまだ子どもの頃、彼女は実の両親に売られるところだった。娼館の下働きに、である。まだ子どもとはいえ、彼女は自分が売られること、売られる先がどういうところかがわかっていた。だから、彼女はその夜に閉じ込められていた娼館の物置小屋から逃げだした。

 彼女はそこがどこかもわからず、どこへ行くのかもわからずにただひたすら走った。

 そして、たまたまわたしの屋敷に迷い込んできた。

 わたしの亡くなった両親は、信じられないくらいのお人好しである。そのせいで歴史あるオラーノ伯爵家は永遠に消え去り、二人とも命を失ってしまった。

 それはともかく、両親はカルラを屋敷に迎え入れた。まぁ、そのことについては、二人のお人好しぶりは称讃ものだけれども。

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