浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「いや、それはわかっている。卵料理は大好きだから。それから、肉はさっぱりしているし。そういう意味じゃなくって、どうしてニワトリが書斎に?机の上にいるのかってこと」
「ああ、それは簡単よ。彼女たちは、書斎が大好きなの。彼女たちも本好きってわけ」
「ああ、なるほど」

 アレックス、なんてことなの。あなた、いまのジョークを信じたわけ?

「さあ、入って。読書タイムの邪魔だから、彼女たちには立ち退いてもらうから」

 先に入ってから彼を招き入れ、そのまま机に近づいた。

 うちのニワトリたちは、いい意味でも悪い意味でも人懐っこい。というよりかは、図太すぎる。

 いまも机の前に立つわたしを、ギロリと睨み上げてきた。

 ううっ……。

 なにこの凄み方。まるで殺し屋Aと殺し屋Bみたいだわ。



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