浮気性の公爵に「外見も内面も最悪」と離縁されましたが、隣国の王太子は見染めてくれたようです~自由気まま少々スリリングな生活を満喫中です~
「ランチにゆで卵にしましょうか。それだったら栄養価も高いし」
「それはいい」

 二人で顔を見合わせて微笑み合った瞬間、彼の手から二つの卵が消えた。

「ゲフッ」

 いつの間にか、ロボがわたしの肩の上に戻っていた。モフモフの中に小さな口があらわれ、「ゲップ」をしている。

「うそっ。まさか丸飲み?」
「みたいだね。二個とも生で食べたみたいだ」

 ロボッて臆病なくせに、食べることは本物の狼みたいなのね。

 っていうか、殻ごと食べて大丈夫なの?

 でもまぁ、カルシウムが豊富っぽい気がするから大丈夫よね。

 と結論付けておく。

 アレックスが笑いだした。

 笑いは伝染する。

 わたしも笑ってしまった。

 しばらくの間、二人で笑い続けた。

 ゆで卵は、しばらくお預けね。

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