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移動しながら話をしているうち、二人には驚くほどの共通点があると判明した。

同郷の人間で、同じ兵学所を出ており、配属された部隊まで一緒だった。

共に独身という点も同じだ。

ただ、徴兵された時期だけは違っていて、彼が敵軍の収容所にぶち込まれたのは、僕より半年ほど後ということだった。

これだけ共通点があると、親近感を抱かずにはいられない。

そして何より、彼は僕の命を救ってくれたのだ。
 

やがて小さな川にぶつかった。

歩いて渡れる程度の細流だ。

すでに樹木の密度は低くなり、川の向こう岸は潅木がぽつぽつと生えているだけだった。

ジャングルを抜けたのだ――。


太陽は沈みかけ、辺りは薄暗くなっていた。

川縁に向かおうとすると、「待て」と彼が言った。

「ここは気をつけなきゃいけねえ。この先に集落があるんだ。日が暮れる頃、敵の士官どもがそこから基地に戻ってくる。このまま進むと鉢合わせになっちまうかもしれねえ」

「夜まで待つのか?」

「そうしたほうがいいな」


岸の手前に腰ほどの高さの岩場があったので、そこに身を潜めて日が沈むのを待つことにした。

岩に背をつけるようにして、二人ならんで屈み込む。

彼がポケットから何かを取り出し、僕に差し出した。

ガムだった。
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