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僕はヒルカワの顔を見た。

「なぜだ?」


「みちるちゃんは俺のモノだからだよ」


ヒルカワの口からみちるの名前が出たことに度肝を抜かれた。

「みちるを知ってるのか?」

「知ってるもなにも、俺のモノだと言ったろう?」

「言ってる意味がわからない。どういうことなんだ?」

「みちるちゃんはな、もう俺なしじゃ生きていけねえよ。俺がそういう女に仕立て上げてやったのさ。このカラダと、クスリを使ってな」


背筋に悪寒が走った。

ヒルカワが口にした不吉な言葉が、僕の脳裡で繰り返される。


「……冗談だろう?」

「お前さんが国を出たあと、みちるちゃんがえらく寂しそうにしてたもんでな。だからこの俺が手を差し伸べてやったというわけさ」

ヒルカワは薄笑いを浮かべ、ガムを口の中に放り込んだ。


「おい……」

僕はゆっくりと腰を上げた。

立ち上がった瞬間、目がくらむほどの光が僕を包み込んだ。


川の向こう岸から強烈なライトが照らされていた。












ライトに照らされたスタビライザーにワイヤーを固定する。
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