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「よかったじゃない」

通信士のマーラだ。悪だくみをする猫みたいな顔で僕に近づいてきた。

「なにがだい? マーラ」

「女の子らしいわよ」

そう言って僕を肘で小突く。

「小型艇のパイロットがかい?」

「ええ、そうよ。それもとびっきりキュートな子らしいわ。医療班のヤンにこっそり教えてもらったの」

「なるほど。マーラとしては期待が外れて大いに失望しているわけだね」

「あら、言ってくれるじゃない。あいにくだけど男には不自由してないの。だから私を口説こうとしても無駄よ?」

「検討してみるよ」

僕はわざとらしく落ち込む仕草を見せた。

「あなたねえ、そろそろまじめに恋人を探さないと皆に置いてかれちゃうわよ?」

肩をすくめる僕に、尚もマーラの説教が続く。


そんな取り留めのない会話を交わしながら、僕たちは居住エリアへと向かった。
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