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**オ*メ*
――開けっ放しのトイレの小窓から、野良犬の遠吠えが聞こえた。





長い小便を出し終えて身震いを起こす。


洗面台のひび割れた鏡に映った自分の顔を見てげんなりした。酷い顔だ。

明らかに悪酔いしていた。

しかし飲まずにはいられない。そういう気分なのだ。

とくに落ち込むようなことがあったわけでもなく、もちろん目出たいことがあったわけでもない。

だけど酔いたい夜というものがある。


今日はそんな日だった。


得体の知れない感覚に襲われていた。

何か大切なものを失ってしまったような喪失感。

取り返しのつかないことを仕出かしてしまったような悔恨。

理由のわからない虚無感。

それらの感覚がごちゃ混ぜになり、僕の内で無秩序な渦を成していた。


冷水で大雑把に顔を洗い、しわくちゃのハンカチで拭いてから、もう一度鏡を見る。

やっぱり酷い顔だ。


酒臭いため息を一つ吐き、立てつけの悪いドアを開けて店内に戻った。
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