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ヒルカワは、ビーフジャーキーを噛み千切りながら、露骨な視線を女に向けていた。

女もそれに気づいているらしく、落ち着かない様子だった。


嫌な予感がする。

かと言ってどうすることもできず、僕はただ空になったビール瓶を弄んでいた。


ヒルカワが女の隣に席を移した。

くそっ――。


身を乗り出して女に話しかけている。

女は愛想よく応じてはいるものの、急な事態に戸惑いを見せていた。


「マスター! ハイネケンちょうだいよ」

苛立ちを抑えるには飲むしかなかった。


ヒルカワは手馴れた様子だった。

奴にとってはおそらく、女を口説くことは茶飯事なのだろう。


女は幾分警戒を解いた雰囲気で、屈託のない笑顔を見せ始めていた。
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