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同僚の比留川だった。

みちると僕がつき合う以前、みちるに再三アプローチをかけていた男だ。

つき合ってからも、みちるに言い寄っていたという噂がある。


背筋に悪寒が走った。


比留川はみちるの横に片膝をつき、カメラ目線でにやりと笑った。

切れ長の目に不穏な光を宿している。

ジャケットの胸ポケットから何かを取り出し、カメラに見せつけるようにしてそれを掲げた。


バタフライナイフ――。

ぎらついたブレードを比留川の赤い舌が這う。


僕の口の中はからからに乾いていた。


比留川がみちるのワンピースを襟首から下腹部のあたりまで切り裂いた。

馴染み深いピンクのブラジャーが露わになる。


おい……やめろ。


みちるはきつく目を閉じ、全身を硬直させていた。


みちる……。


比留川のナイフがブラジャーのフロント部分を切断した。












僕は金属バットを手に取り、ドアを蹴破って部屋の中に飛び込んだ。
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