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随分と平べったくなったが、僕はバットを振り下ろすのをやめなかった。

単調な動作を繰り返す従順な工業機械になった気分だ。――悪くない。


びちゃり。


びちゃり、びちゃ、びちゃり。


びちゃり。


びちゃ、びちゃり。


びちゃり。


びちゃ。


息が切れ、腕が疲れてきたので、反復運動を止めた。

心臓が破裂するんじゃないかと思うほど、激しく鼓動していた。


床がぬるぬると滑るので足元を見下ろす。


僕は血の池に立っていた。


ひい、という声が聞こえたので顔を上げると、みちるが怯えきった表情で僕を見ていた。


「みちる……」


我に返り、急に恐ろしくなった。

膝ががくがくと震え出し、冷たい汗が背筋をつたう。


たまらず僕は、朱に染まったバットを放り投げた。












バットを放り投げ、悠々と一塁ベースに向かった。
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