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羽交い絞め
――バットを放り投げ、悠々と一塁ベースに向かった。





打った瞬間にホームランと確信するほど会心の当たりだった。

拳を突き上げて観客席の声援に応える。


――でも何か変だった。

バットを振り抜いた瞬間、得体の知れない違和感に襲われたのだ。


釈然としないものを感じながら、僕はダイヤモンドを一周した。

四回裏、無死一、二塁からの三点本塁打。

これで間違いなくチームは波に乗れるはずだ。

ホームベースを踏み、ヒーローを迎えるチームメイトたちと次々にハイタッチを交わした。


ヘルメットを脱いでベンチに腰を下ろすと、比留川がにやけ顔で近づいてきた。


こいつとはどうも馬が合わない。

僕にポジションを奪われたことを根に持っているのか知らないが、何かにつけ妙に絡んでくる。


「ナーイスバッティーング」

馬鹿にするような口振りで比留川が言った。

「ああ」

と素っ気なく返す。
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