キスだけでは終われない
再びカナと別れてから会場に戻ると和樹と浩介が話していた。浩介は修一とカナのことを知っていたんだろうか。そんな疑問がわいてきた。
「よっ、久しぶりだな」
「あぁ、日本に戻ってきたのが久しぶりだからな」
「なんだよ。機嫌悪いな。もしかして疲れてる?」
「浩介さん、この人ね、気になっていた女性に逃げられてからずっと機嫌が悪くて、毎日夜遅くまでこき使ってくるし、本当に酷いんですよ。それはもうパワハラで訴えてやろうかと思うくらいで」
「なんだよ。逃げられるなんて、珍しいこともあるもんだな」
「いつも自分がしてるくせに人にされると頭にくる、ってやつでしょう。浩介さんからなんとか言ってくださいよ」
俺をネタに勝手に盛り上がる二人に呆れつつ、浩介から聞ける情報があるならと思って後で場所をかえて飲み直すことにした。
祖父のお祝い会が終わり、ラウンジで浩介と飲み直す。その時、浩介は少し前に修一がカナを連れてお店にきてくれたと話していた。