キスだけでは終われない
「すごい偶然ね…。なんだか運命…感じない?!」
「運命と言われても…だって、私…片山さんの彼女として紹介されたんだし、今さらだよ」
「そうかも知れないけど…。ねぇ、カナが本当に好きな人は片山さんなの?」
「片山さんのことは…好き…だと思う…たぶん…」
「たぶんね…。それって片山さんより須藤さんの方が気になってるって、私には聞こえる」
「…う、うーん。それがわからなくて困ってるの」
「カナはどうしたいの?」
「どうしたいとか、今は自分のことさえわからないんだもん」
今は何を聞かれてもきっと「わからない」としか答えられない。そんなあやふやな状態を察したアヤちゃんは、質問することを諦めたようだった。
「とりあえず、今日はもう遅いし明日時間を作るから会いましょう。仕事が終わったら、カナの家に行くから」
やっと週も半ばを過ぎたというのに、全然解決に近づけてはいない。なので、気分は重くすっきりしていない。