キスだけでは終われない
今日の自分の姿についての反応が気になるものの、職場に着くとまだ出勤している人はいなかった。次に出勤してきたのは部長だった。彼は実は彩未ちゃんのお兄さん。だから私の従兄弟になるのだけれど、こんな姿が久しぶりだからどんな反応なのか心配になった。
「おはようございます」
「あぁ…おはよう。って香苗か!?」
目を見開いて近づいてきた部長に「職場では『高梨』でお願いします」と小さな声で返す。
「あぁ、そうだった。おはようございます。高梨さん。それにしても驚いたよ」
「…ですよね。私も驚いてます」
「随分と思いきって変わったな。これは皆が驚くぞ。反応が楽しみだな」
「私は楽しくないですけど、彩未ちゃんがどんな反応があったか報告して、というので部長からも報告しておいてくださいね」
「俺がか?まあ、そうだな。分かったよ」
なんて朗らかに会話をしていたら、他の人たちが出勤してきた。